(出所 パーカーWebサイト)
この万年筆をご存知の方はいらっしゃいますでしょうか。
デュオフォールドは、1921年に誕生して以来、万年筆の有名メーカーであるパーカー(Parker)の最上位ラインとして多大な人気を誇ってきました。
デュオフォールドは大型、太軸の万年筆です。
発売当時、それまでの万年筆の2倍インクが貯められる構造としたため、太軸になっており、「デュオ=2」からデュオフォールドと命名されたとされています。
そして、デュオフォールドは耐久性が売りでした。
飛行機の上から落としたパフォーマンスはそのまま宣伝ポスターにもなりました。
万年筆といえば黒い軸が当たり前だったところに、オレンジ色の軸を投入して話題も呼んでいます。このカラーの万年筆が「ビッグレッド」と呼ばれています。
結果として、コナン・ドイル、トーマス・エジソン、アインシュタインのような伝記上の人物が使用していました。
マッカーサーが日本の降伏文書の調印式のサインに使ったものとしても有名です。1992年にブッシュ米大統領、エリツィン露大統領が軍縮に向けた合意文書に「デュオフォールド」で署名したことも知られています。
ここまで逸話が多い万年筆は少ないのではないでしょうか。
伝説の万年筆だとしても、古めかしくて使いづらいものではありません。
私が使っているデュオフォールドは1990年代初頭に復刻してからのものです。
復刻の初代、二代目、三代目、四代目と全て使っていますが、手元にあるビッグレッドは現行モデルだけです。(ほとんどは黒軸で、ブラック&パールもあります)
ビッグレッドの現行モデルは金属部分がシルバー色になっており、昔のビッグレッドの金属部分はゴールドであるというものとは印象が異なります。個人的には現行モデルの方が格好良いようには思います。
このデュオフォールドですが、書き心地は万年筆で最高の部類に入ります。
18金のペン先は、14金が一般的な万年筆の中でやわらかいと誤解しそうですが、ペン先は固めです。
何といえば良いか、ペン先がかなり固く、紙に押し付けるとガチガチしています。
ただ、書き心地が固い訳ではありません。
書き心地はインクの出(インクフロー)が良いことから、びっくりするぐらいスムーズに書けます。紙の上にペン先を少し寝た角度で乗せ、あとは一切力を入れずにスーッと書くと、この良さが分かります。
この万年筆は全て職人の手作りのようです。18金の延べ板を切り抜き胡桃(クルミ)の
チップで56時間かけて磨き上げるペン先は本当に素晴らしいと言えます。
デュオフォールドは、万年筆で書くことの喜びを感じられる万年筆の一つなのです。
私にとってのデュオフォールドは復刻後の初代が最も書き心地が良いのですが、これは人の好みによるかもしれません。
ご興味があればぜひ。