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シュレーディンガーの猫という思考実験

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シュレーディンガーの猫」という話をお聞きなったことはありますでしょうか。

量子力学を説明する際によく用いられる思考実験です。

理論物理学者エルウィン・シュレーディンガーが提唱した量子力学に関する思考実験。コペンハーゲン解釈によれば,量子力学では一般に物理量に対する波動関数は広がっているが,観測して物理量が確定した瞬間に 1ヵ所に収縮するとされる(波の収縮)。数学者ジョン・フォン・ノイマンは,収縮は量子力学基本法則であるシュレーディンガー波動方程式では説明できないのだから,その波動方程式に従ってふるまう分子で構成されている観測装置によってもたらされるわけはなく,観測結果を人間が意識した段階で,人間の脳の中で収縮が起こると考えざるをえないと主張した。これに対してシュレーディンガーは,箱の中で放射性原子(→放射性同位元素)が自然崩壊すると毒ガスが発生し,中にいるネコが死ぬという仕組みの装置を考えた。原子がいつ崩壊するかは量子力学的プロセスなので一定ではなく,ネコがいつ死ぬかも一定ではない。人間がネコを観測するまで波の収縮が起こらないとすれば,観測前は生きているネコと死んだネコが共存することになり,奇妙だとシュレーディンガーは指摘した。コペンハーゲン解釈の支持者の多くは,原子の崩壊を装置が検出した段階で波の収縮が起こると考えるが,それは厳密には証明されていない。多世界解釈の支持者は,ネコが生きている世界と死んでいる世界が実際に共存しているのだと考える。

(出所 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)

このシュレーディンガーの猫は、量子力学の基本である「コペンハーゲン解釈」への批判とされています。

量子力学では「全ての事象は観測された瞬間に確立する」「確立する寸前までは異なる複数の事象が重なりあった状態で存在する」ということが前提となっています。これがコペンハーゲン解釈です。

別の説明の仕方だと「量子世界の物理状態は重ね合わさり、波を形づくっているが、観測された瞬間に波はしぼみ、1つの状態に落ち着く(波束の収縮)」ということになります。

良く分からないかもしれません。私も昔はそうでしたし、今も本当はきちんと理解していないのでしょう。

観測するまでは、量子というミクロの世界では、粒子の位置や状態は観測されるまで特定できず、空間の各点ごとの存在確率の大小としてしか把握できない、ということなのです。

これは我々が通常暮らしているマクロの世界では考えられないことです。

私を形作っている粒子が、本当は様々な位置に確率的に存在していると言われても、感覚的には理解が難しいでしょう。

その粒子がどこにあるかは観測するまで分からないという量子力学の前提を活かした思考実験がシュレーディンガーの猫です。

「観測する前の1匹の猫が、『生きている』『死んでいる』という複数の状態として、同時に存在している」というマクロの世界では考えられない奇妙な事象が発生するのはおかしいという批判なのです。

我々が生きている世界の実感・経験則と異なる、ミクロの世界を記述する量子力学と現実のマクロの世界(重力理論=一般相対性理論の世界)を接続するとおかしなことになるという指摘で、非常に的確な批判のように思います。

ただ、このシュレーディンガーの猫がきっかけとなって、多世界解釈が生まれていくという形で、量子力学は更にディープな世界に行ったと私は解釈しています。

人類って、どこまで知恵だけで世界の謎を解明できるのでしょうか。

私が生きている間に、重力理論と量子力学の統合が果たされて欲しいと期待しています。