日銀が定期的に発表している資金循環表というものをご覧になったことはあるでしょうか。
この図を見ると、日本の銀行が何で儲けられないのかが分かるかもしれません。
(出所 日本銀行Webサイト)
この資金循環表は、日本の全融部門を中心とした資金の流れを示したものです。
銀行含めた預金取扱機関は、預金1,519兆円を集め、それを貸出856兆円、証券投資397兆円で運用しています。
この銀行に流れてくる資金(預金)の主な出し手は、家計が1,000兆円、法人が283兆円です。
尚、ここで留意すべきは、家計で保険・年金等が525兆円あることです。日本の保険・年金基金のマーケットがいかに大きいかも分かるでしょう。
そして、この家計・法人から金融機関に流れてきた預金が、また家計や法人に流れていきます。
家計の借入は313兆円、法人の借入は428兆円です。
日本は法人がカネ余りと言われますが、資金循環表から見ると、家計は700兆の預金超過である一方で、法人は150兆円の借入超過です。
世界各国では、銀行は個人(=家計)からかなりの収益を得ています。一方で、日本は家計の借入需要が弱いのです。
その一方で、政府の資金需要は圧倒的です。
一般政府の証券(主に国債)での調達は1,121兆となっており、家計の資金を、金融機関を介して、政府が借入しているようにしか見えません。
日本で銀行の収益が厳しいのは、このように信用力が最も高い政府ばかりが資金需要が強く、最も信用力が低い家計の資金需要が弱いからとも言えるのではないでしょうか。
信用力が高ければ調達コストは低く、信用力が低ければ調達コストは高い(個人なので金利の競争も働かない)のです。
資金循環表はなかなかに示唆があるとは思いませんか?