小泉環境相が国連温暖化サミットの前夜に、ニューヨークのステーキハウスに行って批判されていたとの報道を覚えていらっしゃるでしょうか。
「牛のゲップ」が地球温暖化の大きな原因だと言われている中で、日本の環境大臣が、国連温暖化サミットの前に、ステーキハウスで牛肉を食べたという、ある意味で笑い話でした。
では、牛のような家畜から排出される温暖化ガスの量はどの程度なのでしょうか。少しだけ確認してみましょう。
日本における場合
2018 年度の農業分野の温室効果ガス排出量の内訳をみると、稲作からのCH4(メタン)排出(41%)、家畜の消化管内発酵(いわゆるゲップやおなら)に伴うCH4排出が22%と最も多く、窒素肥料等の施肥に伴う N2O 排出等の農用地の土壌からのN2O排出(16%)がこれに続いています。
(出所 日本国温室効果ガスインベントリ報告書 2020年)
2018 年度の温室効果ガス排出量及び吸収量の分野ごとの内訳をみると、温室効果ガス総排出量に占める割合は、エネルギー分野(間接CO2含まない)が87.5%、工業プロセス及び製品の使用分野(間接CO2含まない)が8.1%、農業分野が2.7%、廃棄物分野が 1.6%、間接CO2排出が0.2%となっています。
(出所 日本国温室効果ガスインベントリ報告書 2020年)
農業分野の温暖化ガス排出は、日本の排出全体の2.7%です。そして、この農業分野のうち、家畜の消化管内発酵に伴うメタンガスの排出が22%ですので、2.7%×22%=0.6%が日本全体における家畜由来の温暖化ガスとなります。
家畜である牛が地球温暖化の原因の一つであるというのは、気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change、略称:IPCC)の報告書から読み取ることができるようです。その中のデータを使用すると、地球上の温室効果ガスの約4%が家畜のゲップやおならから発生するとされているようです。
日本よりは世界の方が家畜の飼育を大規模に行っているということなのでしょう。
植物肉が注目を浴びるのも、健康や主義だけではなく、家畜が温暖化の原因であるという認識の広がりも一つの要因なのです。
牛が食べられなくなった困るので、今のうちに食べておこうと考える私は、ダメな人間なのでしょう。