2020年3月の総務省家計調査では、今回の外出自粛で大きな消費増となったのは、ゲームです。
ゲーム機が実質で前年同期比+165.8%、ゲームソフトが+157.0%という驚異的な伸びを見せました。
www.financepensionrealestate.work
この結果自体は感覚的には理解できます。
もし、ゲーム市場の規模が相応に大きいのであれば(そして雇用も多いのであれば)、コロナでの消費減少を跳ね返すこともできるかもしれません。
ゲーム市場の規模というものはどの程度なのでしょうか。
ゲーム総合情報メディア「ファミ通」は『ファミ通ゲーム白書』を発刊しています。ここでゲームの市場規模を推定しています。
『ファミ通ゲーム白書 2019』では、2018 年の世界ゲームコンテンツ市場について、前年比約 2 割増の 13 兆 1774 億円と推定しました。この市場規模は、家庭用及び PC 向けパッケージゲーム市場の 1 兆 1544 億円と、デジタル配信ゲーム市場(モバイルゲーム、PC 配信ゲーム、家庭用ゲームデジタル配信)の 12 兆 230 億円を合算したものです。 パッケージ市場は、旧世代機ソフトの落ち込みが続く一方、発売 2 年目となる Nintendo Switch がソフトラインナップの充実により前年比プラスとなりました。デジタル配信市場は、2017 年同様、前年比約 2 割増と大きく伸長しています。モバイルゲームが継続的な成長を見せ、さらに PC ゲームの収益が増加、家庭用オンラインもデジタルへの移行が進んだことが要因となっています。 おもな地域別では、アジアが 5 兆 8234 億円、北米が 3 兆 8125 億円、欧州が 2 兆 8203 億円と推算し、主要 3 地域はいずれも前年比二桁増のプラス成長となりました。なかでもアジアではモバイルゲー ムが 3 兆 5000 億を突破し、他地域に圧倒的な差を付けて最も大きい市場となっています。
2018 年の国内家庭用ゲーム市場規模は、ハード・ソフト(オンライン含む)合計で、前年比 97.3%の 4343 億円となりました。 オンラインプラットフォーム市場は1 兆 2361 億円に達し、国内ゲーム市場全体の約 7 割を占めています。 特に、オンラインプラットフォーム市場の大半を占めるゲームアプリ市場は、プラス成長が持続し、1 兆 1660 億円に伸長。国内ゲーム市場は年々拡大し、過去最高の 1 兆 6704 億円となりました。
以上を総合すると以下の通りとなります。
- 2018 年の世界ゲームコンテンツ市場は、前年比約 2 割増の13兆1,774億円
- そのうち家庭用及び PC 向けパッケージゲーム(主にプレステやニンテンドースイッチ)市場は1兆1,544億円
- またデジタル配信ゲーム(主にスマホのゲームアプリ)市場は12兆230億円
- 対して、国内ゲーム市場は1兆6,704億円
- そのうち、国内家庭用ゲーム(主にはプレステやニンテンドースイッチ)市場規模は、ハード・ソフト合計で4,343億円
- 国内オンラインプラットフォーム(主にスマホのゲームアプリ)市場は1兆2,361億円
これが今のゲーム市場です(2019年はもっと拡大していると思いますが)。
ではゲーム産業の市場規模はどの程度といえるのでしょうか。
国内の様々な産業を比較する市場規模マップを見てみましょう。
この市場規模マップでみると国内ゲーム市場はあまり大きくないことが分かります。
例えば、大きな産業でいけば、自動車68兆円、建設57兆円、不動産43兆円、医療42兆円です。
個人にとってなじみ深いものでいくと、外食26兆円、スーパー13兆円、コンビニ11兆円、アパレル9.2兆円、百貨店5.9兆円です。
いずれも国内ゲーム市場を規模ではるかに上回ります。
規模が近い産業としては、パン1.9兆円、葬祭ビジネス1.8兆円、ハイヤー・タクシー1.7兆円、新聞1.7兆円、ペットビジネス1.5兆円、出版1.3兆円です。
ゲーム市場だけが拡大しても残念ながら景気は良くなりません。
ちなみにAmazonの2020年1~3月期決算は、売上高が754億5200万ドル(約8兆900億円)です。Amazon一社の「半年分」の売上にも満たないのが、世界のゲーム市場の規模といえるかもしれません。