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行動経済学からの示唆「サンクコスト」「コンコルド効果」

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サンクコスト(Sunk Cost、埋没費用)とは、すでに支出され、どのような意思決定をしても回収できない費用のことです。

サンクコストが特徴的なのは、すでに投下したコスト(資金・時間・労力)があるために、「もったいない」「元をとらないと」「損をしたくない」というように感じる点です。

このような心理を「サンクコスト効果」といいます。金銭的・精神的・時間的に投資を続けても結果的には損失となるだろうとわかっているにもかかわらず、それまでの投資を惜しみ、投資がやめられない状態を指します。

これは別名「コンコルド効果」とも言われます(当該記事の写真はコンコルドです)。

コンコルド効果という通称は、英仏共同事業として運航された超音速旅客機の名称に由来します。コンコルドは1969年に就航し大きな注目を集めましたが、採算が取れないまま1976年に機体の製造を終了しました。その後も商業的に成功する見込みがないまま2003年まで運航は継続され、墜落事故を契機にようやく運航停止が決定された経緯があります。

コンコルドには日本円で4千億円(1970年代)という莫大な開発費用がかかっていました。この膨大な開発費をなんとか回収しようと赤字を垂れ流し続けながら、英仏共同の会社が経営を続けた結果、更に債務が膨らみ続け、ついに運行が行き詰まったのです。問題は、定員数の少なさと燃費の悪さ(騒音も)でした。

サンクコスト効果、コンコルド効果は、我々の日常の至るところに見られます。

  • パチンコであと1,000円つぎ込めば大当たりが出るかもしれない
  • 宝くじを、あと3,000円買えば人生が変わるかもしれない
  • 人気のレストランで長時間並ぶと「せっかくここまで並んだんだから……」とさらに待ってしまう
  • 途中で興味が薄れていても、毎号ついてくるおまけを集めると完成する雑誌を買い続けてしまう
  • 長く付き合い続けた異性に対して、今までのことを考えると別れるのがもったいないと、別れを選択できなくなってしまう
  • ブラック企業だったり、もう先行きが怪しいのに、ここまで頑張ったのだからと、その企業に勤め続けてしまう
上記のようなことを経験するのは人として当たり前です。
人間は合理的な生き物ではありません。
人間は思考にクセ・偏りがある非合理な生き物です。
アフターコロナ時代(With コロナ時代かもしれませんが)も、このサンクコスト、コンコルド効果は我々に影響を与えるでしょう。

コロナ後には様々な生活様式、ビジネススタイルが変わるはずです。

それなのに、今まで投資をしてきたから、やっと慣れたから、もったいないという気持ちになり冷静な判断ができないことが出てくる可能性はあるでしょう。判断する際には、一度「コンコルド」を思い出してみると良いのかもしれません。