銀行員はお嫌いですか

緩く、弛く、ゆるく

投資家としてのバフェット氏はやはりすごい

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世界で最も有名な投資家であるウォーレン・バフェット氏が、経営するバークシャー・ハザウェイ株主総会で、米航空業界の株式をすべて売却したと明らかにしたそうです。

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もともと、2月にデルタ株式を買い増していたものを大幅に損失を出しても売却しているとの報道もありました。

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投資の神様とまで持ち上げられる人が、投資が間違いだったとあっさりと認め、軌道修正をすることは簡単ではないはずです。

行動経済学に「プロスペクト理論」というものがあります。これは「人は、利益を得る場面では確実さを優先し、損失を被る場面では回避(先送り)を優先する」という理論です。

一つの例を考えてみましょう。

選択肢A:100万円が無条件で手に入る。
選択肢B:コインを投げ、表が出たら200万円が手に入るが、裏が出たら何も手に入らない。

上記2つの選択肢はどちらが価値が高いと感じるでしょうか。

答えはどちらも価値は同じです。

選択肢A:100万円×100%=100万円
選択肢B:200万円×50%=100万円

経済学が仮定する合理的な人だったならば、2つの選択肢は等価値と結論を出した上で、その通りに行動するでしょう。

しかし、私ならば(理屈は分かっていても)上記の選択肢A=確実に100万円が手に入る選択肢を選んでしまいます。

このプロスペクト理論では「人は『もうかる喜び』より『損する苦痛』のほうがはるかに大きい」とも言えます。選択肢Bを選んで実際に「200万円」(100万円ではない)が手に入らなかったら非常に後悔するでしょう。選択肢Aである確実な100万円を選んだ際には「追加の100万円を得られる可能性を捨てている」のにです。

このプロスペクト理論が指し示している株式市場における「人の傾向」は、以下です。

  • 利益が得られそうだと危機回避的な安定志向になり、すぐに利益を確定しようとする
  • 損失が出そうだと危機追求的なリスクテイク志向になり、損失を先送りしようとする

投資においての鉄則は、損は少なく、利益は多くです。(これは商売一般にも該当するでしょう)

ところが、人間の性向は「利益は小さく、損は多く」になりがちなのです。「人は投資に向いていない」と言えるかもしれません。

株式相場に向き合う上で、我々が認識しておく必要がある「人の傾向」は経済行動学によると主に以下となります。

  • 自信過剰:自分の運用能力に自信を持ちすぎ、過剰に取引して損をしてしまう。
  • 後悔回避:後悔するのが嫌で、損切りが出来ない。
  • 損失回避:利益と損失では同じ金額でも損失の方が大きく感じるため、損失を先送りしてしまう。
  • 主観確率:めったに起こらないことなのに自分だけには「本来の確率よりも頻繁に起こる」と思ってしまう。
少なくともバフェット氏の今回の決断は、この人の傾向を超えて、投資として合理的な判断をしたということなのでしょう。
これを出来るのが賢人の賢人たる所以なのでしょう。