クレジットカードの利用実績から、人々がどれだけ自粛をしているかを分析する「自粛率」を民間の会社が算出したと報道されています。
4月前半は、外食で20代の自粛率が低かった一方、ゴルフなどの娯楽は70代で低く、世代によって自粛の行動に差が出ているそうです。
- 4月1日から15日の間に首都圏に住む男性のクレジットカードの利用実績
- 「外食」は、30代前半、40代前半とも自粛率は50%余りである一方、20代後半は36%余り
- 「居酒屋」は、30代から60代までいずれも70%を超える一方で、20代後半は59%余り
- 映画やゴルフなどの「娯楽」は、20代後半から50代前半まではいずれも70%を超える一方で、55歳以上は年代が上がるとともに低下傾向で70代前半は47%余り
この傾向を、大学の教授は「30代や40代は自粛が活発だが若い世代や高齢者の自粛度合いの弱さが顕著だ」と述べています。
この記事にある生データを見たいところです。データは都合よく切り取ることが可能ですので。特に本件はクレジットカード情報の分析であり、現金を含めた分析なのかが不明です。
この記事について、私が気になったのは、あるサイトでの本件についての読者コメントです。
すなわち「老人たちを守るために全国民が多大なコストを負担しているのに、老人は映画やゴルフで遊んでいるのか」「開いた口が塞がらない」というものです。
確かに新型コロナウィルスで死亡しているのは70歳以上が多いとされています。
そして、自粛による「負の」影響を最も受けているのは30~40歳代でしょう。
コメント記入者の怒りも感情的には分かります。
このコメントの背景には、そもそも高齢者には手厚い年金が支払われるのに、自分達の世代は同じようにもらえないというような、高齢者優先の政策への反発があるのでしょう。
シルバー民主主義と言われる日本において、少なくとも社会保障制度の費用は、現役世代が大部分を支払っています。そして、特に公的年金は賦課方式(現役世代から受給世代への仕送り方式)です。少子高齢化が進むと、年金の担い手が減り、国民一人当たりの負担は増していきます。
「カネ」「資金配分」という領域で、高齢者と現役世代の利害が相反する中で、今度は「高齢者が自粛を出来ない」という話です。ここに、連日のように流れているゴルフ練習場が混んでいる映像が重なるのです。
「死亡率の高い高齢者のために我慢している」「そして被害を受けている」のに、「なぜ高齢者は我慢できないのだ」と現役世代は怒るようになるのです。
日本は、世代間対立が必ず進みます。シルバー民主主義に対して、現役世代が反発して行動に移す時が来るかもしれません。
「その時」を、このような報道・行動は早めるのではないでしょうか。