CBREが「日本のインバウンド&アウトバウンド投資2019年(In and Out JAPAN 2019)」を発表しています。
この調査は、海外投資家による日本への不動産投資(インバウンド)および国内投資家による海外への不動産投資(アウトバウンド)の動向についてまとめたものです。
アジアの投資家割合が増加
海外投資家による日本への不動産投資額は88億ドル(日本円換算:9,550億円)、対前年比+91%と大幅に増加。豪州などの太平洋地域を除く、全ての地域からの投資額が増加しました。投資額が最も大きかったのはアジア域内からで、全投資額に占める割合は45%。そのうち韓国投資家が約4割を占めました。
機関投資家を中心に投資額増加
投資主体別で投資額がもっとも大きかったのは「不動産ファンド」の44億ドル(日本円換算:4,860億円)で、全投資額の51%を占めました。次いで大きかったのは「機関投資家」(28億ドル)で、投資額は前年の約10倍になりました。
アセットタイプは分散、安定した収益性を重視
投資額が増加したのは、住宅、物流施設およびホテルのアセットタイプとなりました。マーケットは終盤にさしかかっているとみる投資家が多い中、安定した収益を見込める住宅や物流施設に対する投資意欲が引き続き高い結果となりました。
(出所 CBREが「日本のインバウンド&アウトバウンド投資2019年」を発表 https://www.cbre.co.jp/ja-jp/about/media-center/in-and-out-japan-2019)
個人的に面白かったのは、アジアの投資家で最も投資額が多かったのが韓国投資家であったということです。
韓国投資家から見た場合には、日本は政治・経済・社会環境の変化が原因で不動産価値の下落が起こりにくい、いわゆるカントリーリスクが低い国と考えられているようです。北朝鮮に接し、中国との摩擦もある韓国では、カントリーリスクの低い国への投資が必要と考えているのでしょう。
韓国投資家は、従前はアジアだと中国への投資が多かったように記憶していますが、中国との摩擦が本格化してから日本への投資家が増えてきた印象があります。
反日の国であったとしても、経済面では冷静に分析して日本の不動産を購入しているところが、なかなか面白いのではないでしょうか。
逆に言えば、日本の投資家も日本とは仲の悪いと思われるような国であったとしても、冷静に投資対象として調査する姿勢が必要でしょう(日本の投資家の方が情緒的で冷静ではない判断をしているような気がします。あくまで印象論ですが)。
尚、日本からのアウトバウンド投資では、米国が53%と圧倒的ですが、韓国も9%と相応の割合となっています(中国15%、シンガポール13%、英国6%)。
(出所 CBRE「日本のインバウンド&アウトバウンド投資2019年」)
これだけ近い国です。
両国とも経済的な関係は続くということでしょう。